昨年、「PES(ウイニングイレブン)」が「eFootball™」に名前を変更したのが記憶に新しいが、共にサッカーゲームを代表する「FIFA」もFree-to-Play(無料化)と名前変更の噂があり、サッカーゲーム市場が大きく変わると予想されている。
名前の変更

昨年、EAは27年続いた「FIFA」の名前を変更することを検討していると発表した。理由としては、「FIFA(国際サッカー連盟)」が使用料の大幅値上げを提示してきたためと言われている。その後、FIFA(国際サッカー連盟)側の公式発表で、独占契約の解消が明言されたため、名前の変更は現実的になってきている状況である。

”we’re also exploring the idea of renaming our global EA SPORTS football games. This means we’re reviewing our naming rights agreement with FIFA”
その後、EA側も公式声明で「名前の変更とFIFAとの契約の見直しを考えている」と発表。決定した訳ではないが「FIFAシリーズ」の終了は近づいているかもしれない。併せて独占契約の解消によるライセンス関係への影響はないと言及している。
Free-to-Play(無料化)
「eFootball™」は基本プレイ無料に舵を切り、現在、ゲーム市場の主流になりつつある「Free-to-Play(無料化)」を採用した。無料化の背景には、esportsにおけるサッカーゲーム枠の最大のプラットフォームにするためのユーザー獲得が狙いにあると見られるが、FIFAも同様に無料化でユーザーの拡大を考えていると伝えられている。
https://s22.q4cdn.com/894350492/files/doc_financials/2022/q3/Q3-FY22-Earnings-Release-vFinal.pdf
EAの報告書よると2021年度の売上6,512millionの内、4,707millionはゲーム内の課金などが占めており、ゲームソフトの売上を大きく上回っている。毎年リリースの形態を捨てて無料化による新規ユーザー獲得で課金等の売上を伸ばす選択も十分考えられる。
新作サッカーゲームの登場
Strikerz社が提供予定の新サッカーゲーム『UFL™』の詳細が発表された。完全無料でプレーヤーの実力でオンラインリーグを戦い抜く「Fair-to-Play(公平な勝負)」がゲームのコンセプト。グラフィック面ではFIFAには少し劣るもの、独自のキャプチャーも行い、無料にしては十分な仕上がりだ。「FIFA」「eFootball™」に続き第3の大型サッカーゲームとなるが、FIFA以外は「Free-to-Play」を採用しており、”9000円”近くするFIFAは新規ユーザーからしてより一層ハードルが高くなるだろう。
無料化の弊害
「Free-to-Play」により起こりうる弊害について考えられるのは、オフラインモードの優先度が格段に下がることだ。オフラインモードでは課金要素はなく、有料コンテンツが追加されても競争要素がない為、多くの売上は見込めないだろう。他には、リアルなサッカーを再現した細かな演出や主にオフラインで重視される新要素は見込めないかもしれない。以前、EAの求人広告で「オンラインキャリアモード」開発のエンジニアを募集(現在は削除)していたが、基本プレイ無料になるとEAの優先度は多くの利益を生むオンラインモードの「FUT」に向けられるのは当然だろう。
個人的には、現状でさえ他のモードの使い回しを新要素として売り出している「キャリアモード」の扱いがこれ以上さがるのは、オフラインをプレイする身としては是非とも回避して頂きたい。